akiraの体操観戦記

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内村航平選手が現役引退

内村航平選手が現役を引退することが発表され、14日に記者会見が行われました。

長年体操ニッポンのエースとして、日本体操界はもちろん世界の体操界を引っ張ってきた功績はあまりにも偉大でした。

私も体操ファンとして、この体操史上最高の選手をジュニア時代から引退まで、見続けて応援し続けられたことが最高に幸せでした。

引退の報道もその功績がリスペクトを持って報じられ、世界中でもその功績を称賛する報道がされているので、内村航平選手の偉大さ、その体操がいかに世界中のファンを魅了してきたのかが改めてわかります。

日本の体操ファンからは引退を惜しむ暖かい声、関係者からはねぎらいと功績を称える声がたくさん出ていることでも、内村航平選手の偉大さ、人間性の素晴らしさ、影響力の大きさがわかります。

 

ここで内村航平選手の活躍を振り返っていきたいと思います。

内村航平選手は19歳で初出場となった2008年の北京五輪で個人総合銀メダルを獲得。

当時の日本のエース冨田洋之選手がその年に引退。

2008年11月の全日本選手権内村航平選手が優勝。

2009年4月の全日本個人総合選手権、5月のNHK杯でも内村航平選手が圧巻の強さで優勝。日本の新エースの座を不動のものとしました。

テレビ放送の解説、斉藤良宏さんが「彼の体操にはルールを超えたものを感じる」。
ゲストの塚原直也さんが、「ここまで凄いと体操の神様に愛されている」、「ひとつひとつの離れ技も尋常じゃないくらい高い、これはなにか神がかりなものを感じる」、「同じ人間と思えないぐらい、驚いてます」
と大絶賛でした。
内村航平選手の試合後場内インタビューでも、鉄棒の着地について聞かれて「止まると分かっていたので、それで止まって、嬉しかったです」と応えていました。

この年から全日本個人総合選手権とNHK杯内村航平選手の会場中を一つにするような次元の違う凄すぎる演技に大興奮して、最後の鉄棒の着地で会場大爆発するかのような大歓声が巻き起こるというのがお馴染みの光景になりました。

 

2009年の世界選手権ロンドン大会を圧倒的強さで個人総合優勝。

世界選手権なのに、まるで国内の全日本選手権NHK杯を見ているかのように、内村航平選手が独走し、種目が進むごとに2位以下に大差をつけていくという、とてつもない強さに世界が震撼しました。

そしてこれが毎年の世界選手権個人総合のお馴染みの光景になります。

ここから伝説が始まりました。

 

2010年世界選手権ロッテルダム大会、内村航平選手は圧倒的強さで個人総合優勝、連覇を達成!世界選手権でも内村航平選手の鉄棒の着地に会場大歓声です。

内村航平選手、実は大会の直前に左肩を痛めていて本会場練習でも痛そうに演技を中断する場面もあって心配されていましたが、競技が始まるととてつもない集中力で影響をまったく感じさせませんでした。

 

2011年世界選手権東京大会では、異次元の強さを見せ優勝!2位になんと3.101もの大差をつける圧勝でした。これで前人未到の世界選手権個人総合3連覇を達成!

最終種目鉄棒で優勝を決定づける完璧な着地を決め、会場中から地鳴りのような大歓声が起こったのを今でも鮮明に覚えています。

内村航平選手の着地は毎回会場中が着地が止まるのを期待して固唾を飲んで見守るなか、必ず皆の期待に応えるように着地が止まります。その瞬間、会場中の心がひとつになるかのような一体感を味わえ、競技の枠を超える感動と盛り上がりをいつも巻き起こしてくれます。

2010年、2011年と2大会連続して世界選手権個人総合2位となったフィリップ・ボイ選手(ドイツ)は内村航平選手の次元の違う強さに「生まれた時代が悪かった」と名言を残しています。

内村航平選手は種目別ゆかでも優勝!なんとG難度のリ・ジョンソンを実施してきました。あまりのひねりの速さに審判も目が追いつかなかったのか、最初E難度の新月面と間違えて採点してましたが、Dスコアに対するインクワイアリ(問い合わせ)を受けて得点が訂正されました。

審判が見間違えるほどの超スピードのひねりに世界が驚愕しました。

種目別鉄棒では銅メダルを獲得!G難度のカッシーナやアドラー1/2ひねり~伸身トカチェフ(D)を行うなど、Dスコアをこれまでの6.5から7.3に大幅にあげて、着地もピタリと決めました!その時の会場の地鳴りのような大歓声も凄まじかったです。

得点は16.333と高得点が出て3位。その瞬間、優勝じゃないのか!とブーイングが起こりました。Dスコアで上回る中国勢の鄒凱選手が16.441で優勝、張成龍選手が16.366で2位でしたが、内村航平選手の演技はそれ以上に素晴らしく観客を魅了していました。

 

2012年日本体育大学を卒業し、コナミに所属先を変えて向かえたロンドン五輪内村航平選手は個人総合の優勝候補大本命と言われ世界中から注目されました。

オリンピックの魔物なのか予選では内村航平選手らしくないミスを連発して個人総合予選9位。金メダルを目標としていた団体決勝でもミスが出て銀メダルとなりました。

個人総合決勝では異次元の強さと安定感を取り戻し、オリンピック個人総合金メダル!競技後「やっと内村航平を証明できた」という名言がありました。

 

2013年世界選手権アントワープ大会、オリンピック後の4年に1度のルール改正が行われ、オレグ・ベルニャエフ選手(ウクライナ)、サミュエル・ミクラック選手(アメリカ)、マックス・ウィットロック選手(イギリス)ら次世代の有力若手オールラウンダー達が台頭。絶対王者内村航平選手にどこまで迫れるのか注目されました。それでもやはり内村航平選手は強かった。誰が見ても別格な美しさと隙のない圧倒的強さで個人総合優勝!世界選手権個人総合4連覇を成し遂げました。この大会では加藤凌平選手が2位に入り、日本勢がワンツーフィニッシュを達成しました。

 

2014年4月、去年から新設されたワールドカップ東京大会に内村航平選手が出場!

世界の強豪オールラウンダー達が東京に集いましたが、やはり主役は内村航平選手でした。

最終種目鉄棒でなんとF難度の降り技フェドルチェンコを実施!

いつもの伸身新月面宙返り降りにさらにひねりを一回多く加えた伸身2回宙返り3回ひねり降りという超大技、鋭い回転から凄まじい着地をピタリと止めてきました!

世界でも行う選手がほとんどいない超大技の着地を大舞台の一発勝負でピタリと決めてしまう内村航平選手、まさに神がかった演技に場内大歓声でした。

 

この年に行われた世界選手権南寧大会、中国の地元ということで、体操大国中国の威信をかけた強化が行われてました。団体では、目を疑うようなおかしな判定で0.1差で中国が優勝。日本は金メダルを逃し2位でした。

中国は演技の難しさを示すDスコアで内村航平選手すら上回るという鄧書弟選手を満を持して投入、団体の時のようにおかしな採点をしてくるのではないかという警戒感もあり、個人総合での決戦が注目されました。

それでも内村航平選手は強かった。1種目目のゆかで全ての着地を止める鬼気迫る演技、神がかってました。その後も圧倒的な美しさと安定感、正確無比な着地で中国期待の鄧書弟選手をまったく寄せ付けず優勝!3位に田中佑典選手も入り、日本勢が2人表彰台という強さを見せました。

内村航平選手はこれで世界選手権個人総合5連覇を達成!ファンの間では既にキングと呼ばれていました。

 

2015年世界選手権グラスゴー大会、内村航平選手が自身の跳馬の最終形として取り組んでいたリ・シャオペンを完璧に実施。内村航平選手が常に1番の目標に掲げていた団体での金メダルをこの年ついに達成しました。

個人総合決勝でもリ・シャオペン(D5.8)を武器に有力な世界の若手オールラウンダーをまったく寄せ付けない強さで世界選手権個人総合6連覇を達成!

凄すぎる大偉業を世界が賞賛しました。

 

2016年リオデジャネイロオリンピック絶対王者内村航平選手、安定感抜群の加藤凌平選手、美しさの田中佑典選手、力強さの山室光史選手、ひねり王子白井健三選手、最強の5人が揃い、それぞれが持ち味を最大限に発揮して、アテネ五輪以来となる日本体操界悲願の団体金を獲得!日本中が歓喜にわきました!

個人総合決勝では、世界最高のDスコア40.1を誇りワールドカップで連勝を重ねるオレグ・ベルニャエフ選手(ウクライナ)と絶対王者内村航平選手との最強決戦が実現。

内村航平選手も団体金メダルを取るために作り上げてきたDスコア39.4の高難度の演技構成を美しく実施していきます。5種目終了時点でオレグ・ベルニャエフ選手が0.901と大きくリード。向かえた最終種目鉄棒、内村航平選手はここ一番の勝負所で美しい完璧な演技、着地も完璧に決めて15.800の最高得点を上げました。0.099差で大逆転し内村航平選手が金メダル!オリンピック個人総合2連覇を成し遂げました。

内村航平選手はその圧倒的強さからここまでの接戦になることが、そもそも今までなかったのですが、大きくリードされる苦しい展開でもここ一番の最高の演技を決めてくる神がかった勝負強さを見せました。

本当に心が強い選手、さすが絶対王者だなと思いました。

 

2017年、内村航平選手は日本体操界初のプロに転向。体操の世界に新たなる可能性を見せました。シーズン初戦の全日本個人総合選手権。白井健三選手、萱和磨選手、谷川航選手、千葉健太選手らいわゆるシライ世代が大学3年となり予選で上位を独占。新世代の台頭を感じさせました。

決勝では内村航平選手が絶対王者の強さを見せ優勝!前人未到の大記録となる全日本選手権10連覇を達成!

その年の世界選手権アントワープ大会予選。内村航平選手は跳馬で大技リ・シャオペン(D5.8)の着地を決めたものの左足首を負傷、棄権となりました。その瞬間、内村航平選手世界選手権個人総合7連覇ならずのニュースが世界中を駆け巡りました。その影響の大きさから内村航平選手が成し遂げた世界選手権6連覇がどれだけ凄い大偉業であったのかがクローズアップされました。

 

2018年、全日本個人総合選手権で、新星谷川翔選手が内村航平選手の11連覇を阻止して初優勝!内村航平選手はあん馬での落下もあり3位になりました。

NHK杯では、内村航平選手が全日本個人総合選手権のミスを修正し、ものすごい演技を連発、どんどん高得点を叩き出し、谷川翔選手と白井健三選手を逆転し優勝!鉄棒では内村航平選手らしい完璧な着地を決めました。まわりのファンの方々が涙を流して感動してましたね。NHK杯10連覇の快挙を達成しました。

世界選手権ドーハ大会では、直前に足を怪我したこともあり、個人総合を回避。

内村航平選手はあん馬、つり輪、平行棒、鉄棒の4種目に出場し、日本の団体銅メダルに貢献しました。

種目別鉄棒決勝で、着地を止める完璧な演技を決め銀メダルを獲得しました。

 

2019年全日本個人総合選手権予選、内村航平選手はまさかのミスを連発し37位で予選落ちとなってしまいました。「東京オリンピックは夢物語」とコメント。両肩を痛めていて練習を十分に積めなかったとのことでした。

 

2020年中国から発生したコロナウイルスパンデミックとなり、東京五輪が1年延期となりました。

内村航平選手は怪我の影響もあり、鉄棒1本に種目を絞って東京五輪の代表を目指すことを決断。

H難度の超大技ブレットシュナイダー(H)を習得し、12月の全日本選手権では異次元の演技を披露。全日本選手権種目別鉄棒を15.700という超高得点で優勝。

 

2021年、東京五輪代表選考となる全日本選手権予選決勝、NHK杯、全日本種目別選手権予選決勝の計5演技全てで、世界ランキングの得点を大きく上回る異次元の演技を連発し、東京五輪種目別の代表枠を獲得しました。

無観客で行われた東京五輪では、予選でブレットシュナイダー(H)、カッシーナ(G)、コールマン(E)と大技を成功させるも、シュタルダーとび1回半ひねりでまさかの落下。予選落ちとなりました。

内村航平選手は1回退場するもベンチに戻ってきて日本の各選手の応援をしていたので、自分のことよりも日本チーム全体の主将として、チームに貢献しようとするその姿勢はやはり素晴らしかったです。初出場の選手たちには心強かったと思います。

10月の世界選手権北九州大会、内村航平選手の生まれ故郷の地で行われた世界選手権、満員の大観衆の中、種目別鉄棒決勝に内村航平選手が登場。

会場中が注目する中、超大技ブレットシュナイダー(H)!

近づきましたが、しっかりキャッチ!カッシーナ完璧!コールマン(E)ちょっと近づきました!東京五輪で落下のあった因縁のシュタルダー一回半ひねりも成功!

アドラー1回ひねり(D)~ヤマワキ(D)も決めました!

そして伸身新月面宙返り降りの着地ピタリ!!!

これぞ8年連続で世界の頂点に君臨し続けた内村航平選手の王者の着地!

時が止まるような凄まじい着地に場内大歓声!!!

得点は14.600で6位。ブレットシュナイダー(H)での肘曲がり、コールマンも近づいてしまったので得点伸びませんでしたが、他の選手とはまったく次元の違う美しい演技、この場面での内村航平選手にしか出来ない神がかった着地は一番心に響いて感動しました!

演技を終えた内村航平選手、清々しい表情で会場中に手を振って応えていたのが印象的でした。

 

内村航平選手の演技は、美しさ、技のキレ、完成度、安定感、しなやかさ、力強さ、難度の高さ、着地の強さと全てが備わっていて、内村航平選手にしかだせないクオリティの高い特別な演技となっています。それでいて、大舞台での究極の局面で最高の演技を出してくる無類の勝負強さがありました。

私も何度も会場で神がかった奇跡的な演技を目の当たりにして、大感動させてもらいました。会場でこれ以上はない世界最高の体操を見ているという実感がありました。

やはり特別な選手。世界選手権6連覇、オリンピック2連覇の大偉業、個人総合40連勝は体操の世界ではありえない大記録だと思います。まさにアメージング!内村航平選手は体操史上最高の選手です。

内村航平選手を目標にして、世界と日本の体操界全体のレベルが上がったと思います。

そして内村航平選手は自身の個人総合よりも団体での金メダルを1番の目標に掲げてくれる日本のエースとしての姿勢も素晴らしかったです。それが後輩達にもしっかり受け継がれていて体操ニッポンの強さとなっていますね。

 

内村航平選手の引退会見、競技への思いを「体操ということに対して世界で一番僕が知っている状態にしたいなと思っている。ずっと勉強し続けたい。極めるというよりもっと上の次元までいきたい」と語りました。今後については後輩に自身の経験を伝えたり、子どもたちに体操の楽しさを伝えたりと「体操に関わるすべてのことをやっていきたい」と語りました。

そして後輩や日本の体操界にこうなってほしいというものがあるかとの報道陣の問いに「体操だけうまくても駄目だと伝えたい。僕も若い時は競技だけ強ければいいと思っていたが、やはり人間性が伴っていないと誰からも尊敬されないし、発言に重みがない。父親に体操選手である前に一人の人間と言われて育ったが、その意味がようやくわかった。大谷翔平君もそうですし、羽生結弦くんも、やっぱり人間としての考え方が素晴らしいなって思う。だからこそ国民の方々から支持されて、結果も伴っている。そういうアスリートが僕は本物なのかなと思っている。そういう高い人間性を持った一人の人間に、体操選手としてあってほしいと僕は思いますね」と後輩たちへ競技力のみならず”人間性”の大切さを強調しました。

内村航平選手の背中を見てきた後輩たちへの最高のメッセージだと思います。

体操ニッポンの未来は明るいですね。

体操愛がとても溢れていて、さすが内村航平選手だなと見ていて嬉しくなるような会見でした。

3月12日に引退試合KOHEI UTIMURA THE FINALを東京体育館で行うとのことです。内村航平選手の6種目の演技を再び見れるのが楽しみです。

同じ時代にその神がかった奇跡的な演技と、いくつもの伝説が誕生する瞬間を見続けられ、応援出来て体操ファンとして最高に幸せでした。

競技生活お疲れさまでした。感動をありがとうございました。

今後の内村航平選手の活動も楽しみにしていきたいと思います。